2018年3月号

住宅金融最前線

 新たな住生活基本計画が策定され、とりわけ若年・子育て世帯や高齢者が安心して暮らすことができる住生活の実現、既存住宅の流通と空き家の利用の促進、住宅ストック活用型市場への転換、住生活産業の活性化などを内容とする、今後10年の住宅政策の方向性が示されたところです。

 豊かな住生活の実現に資する点においては住宅の建設及び購入に必要な資金を低利で調達できる仕組みが整っていることは言うまでもありません。

 その点においては1950年(昭和25年)に設立された住宅金融公庫は、公営住宅、日本住宅公団と共に戦後の住宅政策の一翼を担い、その永年の取り組みは多くの国民の住生活の質の向上に多大な貢献をされてきたところです。

 2007年(平成19年)に住宅金融支援機構に組織改正されてからは、これまで主事業であった直接融資から住宅債権の証券化支援事業へと変化しましたが、この組織改正も住生活の多様化等社会構造の変化によるものであると同時に、民間金融機関による多様な住宅金融に係る融資メニューが揃ってきました。ただし、消費者あるいはそれを紹介する仲介者にとってはいささか情報過多と言っても過言ではありません。また、近年は多発する自然災害からの復興事業や市街地の再生に向けた再開発事業の推進に向けて、興味深い融資の事例が増えてきました。

 本特集では、新たな住生活基本計画の実現へ向けて、金融に携わる様々な主体による住宅金融の新たな潮流を紹介していただく機会としました。

 

企画編集:一般社団法人日本住宅協会


足下の住宅金融政策〜住宅金融支援機構の第三期中期目標を通じて〜
 国土交通省住宅局総務課民間事業支援調整室

住宅ローン市場と消費者動向の現状
 独立行政法人住宅金融支援機構調査部 主席研究員 松家 真一

地方創生に向けた地域連携の推進
  −地方公共団体と住宅金融支援機構による子育て支援・UIJターン等の推進−
  独立行政法人住宅金融支援機構 地域支援部地域支援担当部長 市川 真一

子育て支援等に関する金融・補助制度による推進 三世代同居・近居の促進に向けた住宅取得支援
 〜アンケート調査から考察する効果と共助関係の成立〜
  松戸市街づくり部住宅政策課長 小林 清

京町家の再生に向けた取り組み 
  −京都銀行等地元金融機関の取り組みを含めて−
  公益財団法人 京都市景観・まちづくりセンター 事務局次長 梶山 真樹

滋賀銀行の地方創生に資する住宅金融支援      
 株式会社滋賀銀行 営業統括部地域振興室

住宅セーフティネット法の制度概要及び住宅金融支援機構の取組み
 国土交通省住宅局総務課民間事業支援調整室

サービス付き高齢者向け住宅整備事業に対する、
  (一財)民間都市開発推進機構の共同型都市再構築業務による資金支援について
  一般財団法人民間都市開発推進機構 業務第一部長 石坂 昌平

リバースモーゲージの今日             
 住友生命保険相互会社 顧問 小島 俊郎