2015年7月号
特集/観光と居住
観光は地域の活力を維持、活性化し、地域の持続可能性を高める政策として、注目されており、観光計画を立てること自体が、地域の特徴・長所を再発見し、地域づくりに貢献する上で評価されている。特に、その地の歴史、文化、生活を売りにした着地型観光は独自性が高く、その地域ならではのさまざまな体験を提供できるため、注目されている。
一方で、着地型観光は、市民生活と密接に関わった空間が観光の舞台となるため、市民生活に直接的な影響を与えがちであり、多くの来訪者を期待する観光政策と静謐な生活環境を求める居住政策は往々にして対立しがちであり、おりあい(摺り合わせ)が必要となってくる。
本特集では、各地で検討されている観光(行政の政策および民間の活動)と居住との関係について着目し、それらの間に存在する課題を明らかにするとともに、現時点でどのようにおりあいがなされているのかについて解き明かす。
企画編集:岡山大学大学院環境生命科学研究科 准教授 橋本 成仁
観光と居住 ‐イタリアと京都の経験から
京都府立大学生命環境科学研究科 教授 宗田 好史
観光立国実現に向けたアクション・プログラム2015
‐「2,000万人時代」早期実現への備えと地方創生への貢献、観光を日本の基幹産業へ‐
観光庁観光戦略課
交通問題から見た観光と居住
埼玉大学理工学研究科環境科学・社会基盤部門 教授 久保田 尚
出雲大社神門通りと温泉津温泉
東京工業大学大学院社会理工学研究科 教授 桑子 敏雄
<観光政策と居住政策の折り合いから見るこれまでの取組みと今後>
喜多方市における観光と居住、双方の政策のこれまでの取組みと今後について
喜多方市役所建設部建築住宅課長 加藤 俊哉
桐生新町重要伝統的建造物群保存地区における観光・居住施策の取組みとその課題
桐生市総合政策部重伝建まちづくり課 重伝建係長 柳井 徹
新潟県佐渡市・宿根木地区における観光と居住
佐渡市宿根木地区歴史的景観審議会 委員 高藤 一郎平
歴史文化と暮らす環境と観光振興
高山市基盤整備部都市整備課 課長 西永 勝己
白山市白峰重要伝統的建造物群保存地区における観光と居住
石川県白山市観光文化部文化振興課長 木田 清
倉敷美観地区における観光と居住
倉敷市教育委員会生涯学習部文化財保護課 副主任 藤原 憲芳
石見銀山における賑わいと暮らしの調和に向けて
大田市教育部石見銀山課 建造物係長 大門 勝典
美々津重要伝統的建造物群保存地区における観光・居住施策の取り組み
日向市教育委員会 文化生涯学習課文化財・文化振興係 主査 太川 裕晴
トピックス
平成26年度国際居住年記念賞等授与式について
一般社団法人日本住宅協会
住宅関係功労者表彰
第67回通常総会報告について
住宅だより海外編 ‐国際居住年記念事業 海外の居住環境改善活動報告‐
貧困と命を守る家:ネパール大地震を事例に
特定非営利活動法人ハビタット・フォー・ヒューマニティ・ジャパン
支援業務部マネージャー 山本 真太郎
書評
筑波研究学園都市論
政策研究大学院大学教授・まちづくりプログラムディレクター 福井 秀夫
こんなまちに住みたいナ
埼玉大学名誉教授 在塚 礼子