2026年7月号
災害と空き家
災害は地域のトレンドを加速すると言われる。人口減少、高齢化、生業の衰退などがそれに当てはまる。空き家はどうだろうか。空き家は平時において社会問題化されており、管理不全空き家が災害を拡大するとの指摘がある一方で、災害後は、仮すまいの場として、起業の拠点として、あるいはボランティアの拠点として活用されるなどの事例が多く報告されており、その役割が増大すると考えられる。また災害後に空き家資源が活用されやすいような制度設計(例えば熊本地震後の補修補助事業など)も一部なされている。一方、災害後は公費解体事業により、空き家を解体するインセンティブも与えられている。例えば、福島第一原子力発電所事故の被災自治体でも、避難指示解除から1年が公費解体の申請期限、2024年1月の能登半島地震では、2025年末で全被災自治体での公費解体の受付期限が終了した。いずれも解体が急ピッチで進められている。そしてその中には伝統的住宅など文化的価値が高いものも含まれる。個人の資産として空き家を見るだけでなく、地域資源として空き家を捉えることが災害後により一層重要となってくるとすれば、空き家の解体や活用のための制度設計はどうあるべきだろうか。東日本大震災以後の災害後の空き家を巡る、公・民・私による取り組みを報告いただきながら、災害と空き家の関係、そして災害と平時とを繋ぐ制度や仕組みについて考えたい。
企画編集:東京大学大学院新領域創成科学研究科社会文化環境学専攻 准教授 井本 佐保里
特集1 災害復興における住宅ストックの時間的変遷と空き家
東京大学大学院新領域創成科学研究科社会文化環境学専攻 准教授 井本 佐保里
特集2 災害と空き家を巡る状況−東日本大震災などの事例から
埼玉大学大学院理工学研究科教授 菊池 雅彦
特集3 空き家を活用した災害後の住宅セーフティネットのあり方
国立研究開発法人建築研究所住宅・都市研究グループ上席研究員 米野 史健
特集4 農山村集落における災害への備えの議論と移住者受入れと連携した空き家のマネジメント
−和歌山県東牟婁郡那智勝浦町色川地区を事例として−
和歌山大学システム工学部教授 佐久間 康富
特集5 令和6年能登半島地震住宅資源調査の取り組み −能登復興建築人会議−
東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻助手 池田 暉直
特集6 残った建物を地域の拠点として保存・活用する取り組み
−震災後の奥能登で建物を未来につなぐために−
特定非営利活動法人外浦の未来をつくる会 重政 辰也
特集7 令和6年能登半島地震で被災した輪島市黒島地区の抱える課題
関西大学環境都市工学部助教 西川 英佑
特集8 佐賀関大規模火災を踏まえ、今後のまちづくりと復興はどうあるべきか
大分大学理工学部教授 小林 祐司
特集9 福島県における空き家の現状と対策・活用 〜富岡町の経験から〜
福島県富岡町役場企画課長 畠山 信也
第78回通常総会報告
一般社団法人日本住宅協会