2025年9月号
外国人居住を考える
日本の外国人人口は増加傾向にあり、2024年12月末時点の在留外国人数は376 万 8,977人で過去最高となった。これは日本の総人口1億2,380万人(2024年10月1日現在、総務省統計局)の3.04%を占める。2014年の日本の総人口と在留外国人数と比べると、日本の総人口が10年間で2.6%減少したのに対し、在留外国人数は 77.6%と大幅に増加している。加えて、近年のインバウンド拡大による訪日外国人の急増もあり、外国人人口が急激に増加したような印象が広がっている。
そのため、先の参議院選挙では外国人政策が大きな注目を集めた。外国人人材の受入れのあり方、多文化共生の推進、入管法および難民政策、社会保障制度への影響などが争点となり、今も議論が続いている。外国人受入れに反対する声も強まっているが、経済界からは、急激な人口減少が進行する中、外国人人材を受け入れなければ、労働力人口が大幅に不足し、経済成長や社会保障制度の維持が困難になるとの指摘がある。外国人と共に暮らす日常について考える時期が来ている。
本誌では2024年5月号において、外国人の集住が顕著な住宅団地に焦点を当て、外国人居住の現状を報告した。しかし、外国人の居住地は住宅団地に限定されるものではなく、全国各地へ、様々な住宅へと多様化している。多様化の背景には、入管法改正や外国人受入れ制度の変遷があり、外国人の居住地選択や定住に大きな影響を及ぼしている。
本特集では、外国人の入国に関する法制度変遷に伴う在留資格の多様化を踏まえ、国籍や在留資格ごとの外国人の居住形態や居住地の変容、生活上の課題、地域社会との関係性について、様々な外国人住宅地の事例を取り上げる。外国人の定住が恒常的な現象となりつつある今日、居住支援を含む住宅政策は、従来の枠組みを超えた再編が求められている。本特集が、外国人の居住をめぐる課題の構造的理解と実践的知見の手がかりとなれば幸いである。
企画編集:筑波大学システム情報系 教授 藤井 さやか
特集1 多様化する外国人のすまい
筑波大学システム情報系 教授 藤井 さやか
特集2 外国人向け住宅業界の現状と支援
株式会社LIFULL LIFULL HOME'S事業本部 FRIENDLY DOOR責任者 龔 軼群
特集3 外国人入居者と大家をつなぐ賃貸仲介・管理会社(以下、賃貸事業者)の現場から
-「入居支援」から「地域再生」へ-
株式会社イチイ代表取締役/日本賃貸住宅管理協会あんしん居住研究会長 荻野 政男
特集4 外国人専門家賃保証サービスの提供と課題 外国人賃貸市場の最前線
-外国人の住まい支援と保証制度の現場から-
株式会社グローバルトラストネットワークス代表取締役社長 後藤 裕幸
特集5 外国人研究者受入れの取り組み(JST・二の宮ハウス)
筑波大学システム情報系 教授 藤井 さやか
特集6 茨城県利根町の戸建住宅地空き家の日本語学校寄宿舎への転用
筑波大学システム情報系 准教授 博士(工学) 山本 幸子
株式会社フージャースコーポレーション 修士(社会工学) 廣谷 泰斗
特集7 外国人技能実習生の居住問題
奈良女子大学大学院人間文化科学総合研究科 華 爽
奈良女子大学名誉教授 中山 徹
特集8 地方創生と外国人受け入れの取り組み(北海道東川町)
筑波大学システム情報系 教授 藤井 さやか
特集9 高齢期における中国残留邦人等・在日中国人の生活と介護の現状と課題
大阪大学大学院工学研究科地球総合工学専攻 准教授 松原 茂樹
特集10 外国人が定住する地方小都市の現状と課題
認定NPO法人茨城NPOセンター・コモンズ 代表理事 横田 能洋
特集11 インド人のコミュニティ形成に関する経緯と現状
-江戸川区における多文化共生施策との関連から-
法政大学デザイン工学部都市環境デザイン工学科/法政大学大学院地域創造インスティテュート
教授 上山 肇
特集12 学校を核としたネパール人の居住空間と文化的営み
鹿児島大学大学院人文社会科学研究科修士後期課程/赤塚学園美容・デザイン専門学校専任教員 村本 茜
跡見学園女子大学文学部コミュニケーション文化学科 講師 斎藤 敬太
特集13 別府市における多文化共生型ステューデンティフィケーションと留学生・外国人の住まい
明治大学経営学部 教授 中澤 高志
特集14 北海道ニセコ町の外国資本増加に伴う外国人増加の現状
北海道大学大学院工学研究院建築都市部門空間デザイン分野 准教授 野村 理恵
特集15 定住から共生へ-東九条における在日韓国・朝鮮人の居住史-
北海道科学大学工学部建築学科 助教 中村 景月
特集16 新宿区大久保にみる“新たなホスト社会”の兆し
NPO法人かながわ外国人すまいサポートセンター 理事 稲葉 佳子
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