2017年1月号
都市コンパクト化時代の住まい方
多くの自治体でコンパクトな都市の実現を目指した取り組みが見られるようになって久しい。しかしその政策が機能し実現に向かっているのかは、現時点では評価が難しい。
近年導入された立地適正化計画は公共施設の再編を核とした居住圏の誘導策であるが、そこで行われている居住誘導すべき地域のあり方の議論だけでなく、誘導される(≒人口が減少する)側の地域をどうしていくべきかといった議論や具体的手当も行われる必要がある。
また地域公共交通計画は、まちづくりと連携し面的な公共交通ネットワークを再構築することとされている。特に地方部においては「小さな拠点《と言われる集落拠点の整備と交通結節点の整備が議論されており、地域の将来の生活に多大な影響を与えることが予想される。
本特集では、住まう場所と住まい方のこれからを考える際に重要なこれらの計画制度を読み解くとともに、「住まい《「交通《「福祉《「教育《「医療《の側面からその具体例を紹介いただくことにより、住み続けられる地域形成のあり方を考える機会としたい。
企画編集:横浜市立大学国際総合科学部国際都市学系 准教授 中西 正彦
岡山大学大学院環境生命科学研究科 准教授 橋本 成仁
(五十音順)
人口減少社会における居住と居住地
吊城大学都市情報学部 教授 海道 清信
立地適正化計画の策定動向と居住誘導に関する課題
横浜市立大学国際総合科学部国際都市学系 准教授 中西 正彦
地域公共交通網形成計画の目指すもの
国土交通省総合政策局公共交通政策部交通計画課 手嶋 一了
コンパクトシティ形成へ向けた夕張市公営住宅による市街地集約化
北海道大学大学院工学研究院・教授 瀬戸口 剛
医学を基礎とするまちづくり(MBT,Medicine-Based Town)の取り組みについて
公立大学法人奈良県立医科大学 MBT研究所 講師(産学官連携推進センター兼務) 遊佐 敏彦
活力ある超高齢社会を築く観点から考えるコンパクト化の論点
東京大学高齢社会総合研究機構 特任講師 後藤 純/
東京大学高齢社会総合研究機構 学術支援専門職員 伊藤 夏樹
集落地域への人口定住を支える仕組み
島根県中山間地域研究センター 主席研究員 有田 昭一郎
二の宮団地再編プロジェクト~里山団地を核とした地方創生~
神奈川県住宅供給公社 専務理事 篰(しとみ) 健夫
住宅だより海外編
-国際居住年記念事業 海外の居住環境改善活動報告-
「カラ=西アフリカ農村自立協力会《2015年度の活動記 一般社団法人日本住宅協会
書評
荻窪家族プロジェクト物語
NPO法人まちの縁側育くみ隊・代表理事 延藤 安弘