2020年11月号

通学路の安全

 通学路は地域の子どもたちが日常的に利用する空間となっており、「安全」であることは、基本的な要件となっている。しかし、通学中の児童を巻き込む交通事故や犯罪に関する報道が多くみられるように、必ずしもこの空間が「安全」な空間になっているとはいえない。
 京都府亀岡市で 2012年(平成 24 年)4月に起こった交通事故や 2018年に新潟市で起きた女児殺害事件をきっかけとした、通学路の緊急点検なども行われているが、水路への転落問題など、通学路にはさまざまな危険が潜んでいる。一方で、住宅地の中の通学路を子どもが歩くことがコミュニティにどのような影響を与えるのか、教育としてみた場合、通学路とはどのように捉えられるのか。 本特集では、通学路とその安全に関して、近年進められている取り組み状況について伝える。

 

企画編集:岡山大学大学院環境生命科学研究科 准教授 橋本 成仁

 

総論 通学路についての議論と総括    
 岡山大学大学院環境生命科学研究科 准教授 橋本 成仁

地域ぐるみによる子供たちの通学の安全確保に向けて
 文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課安全教育推進室 森本 晋也

子どもの横断判断特性から考える生活道路の交通安全施策の課題 
 中央大学研究開発機構 稲垣 具志

通学路の安全〜犯罪から子供を守る地域の目〜 
 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻准教授 樋野 公宏

教育として捉えた通学路(通学路を歩くことの意味、道草)
 千葉大学名誉教授 大妻女子大学社会情報学部教授 木下 勇

子どもを見守る高齢者の視線を建築計画に活かす 
 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授 大月 敏雄

住宅地の通学路 子どもを地域で見守るエリアデザイン
 大分大学理工学部創生工学科建築学コース准教授 柴田 建