2019年7月号

人口動態と地域まちづくり

 わが国も人口減少時代に突入して一定の期間が経った。地方都市ではすでに人口減少に転じて久しく、大都市圏、特に東京圏ではいまだ人口増加基調であるが、遠からず減少に転じることが予想されている。そのような中、2014年に提唱された「消滅可能性自治体」は社会にインパクトを与えたが、一方で、実際には地方の自治体といえども丸ごと消滅してしまうことは想像しがたい。

 地域や地区に目を転じると、利便性が高い地区に人口が回帰し、郊外住宅地は衰退・高齢化が進む傾向はあるが、立地や地区の環境等によっても様相は異なる。人々は自らの状況や意思に基づいて住む場所を選び、時に移動しつつ、子どもを産み育て、人生を送り、亡くなっていくが、その集積の結果が地区ごとや引いては自治体全体の人口となって表れてくる。つまり今後の居住圏を考えるには、人口の総量に加えて動態も同時に考える必要がある。

 このような視点に立ち、本特集は、人口動態推計の理論と実際、そしてそれに働きかけようとする政策の実態と要件を探るものとして企画したものである。

 

企画編集:横浜市立大学大学院都市社会文化研究科 准教授 中西 正彦


インタビュー:将来人口を踏まえた住宅政策・地域まちづくり         
 慶應義塾大学名誉教授 大江 守之氏
 (聞き手:中西 正彦(横浜市立大学))

人口動態推計の理論と我が国の地域別将来人口の見通し
 国立社会保障・人口問題研究所 人口構造研究部長 小池 司朗

人口動態の空間経済分析                      
 東京大学大学院経済学研究科 教授 佐藤 泰裕

「将来人口・世帯予測ツール」の開発と社会実装
 国土交通省国土技術政策総合研究所 都市研究部都市計画研究室長 勝又 済

地方における人口動態・居住地選択動向             
 東京大学大学院工学研究科建築学専攻 李 鎔根

マイホーム主義世代と居住地選択のゆくえ 
 〜都市人口の高齢化がもたらす居住問題への社会学的アプローチ〜
  成城大学社会イノベーション学部准教授 山本 理奈

豊島区の「消滅可能性都市」からの脱却の取組みとその効果                
 豊島区副区長 呉 祐一郎

全国にない魅力〜北海道東川町の定住促進政策とその効果〜     
 東川町役場定住促進課 課長 吉原 敬晴

出生率・定住率向上のための地域環境施策とは
 〜まち保育の考え方とこどもにやさしいまちづくり〜
  横浜市立大学学術院(国際総合科学群)准教授 三輪 律江

地域の人口政策とまちづくりの要件         
 横浜市立大学大学院都市社会文化研究科 准教授 中西 正彦

 

トピックス

平成30年度国際居住年記念賞授与式について                
 一般社団法人日本住宅協会

 

住宅関係功労者表彰

第71回通常総会報告