2017年9月号
人口減少時代における生活空間の共同管理
少子高齢化、人口減少時代においては土地の過小利用や土地の管理放棄といった状況が発生し、生活の質を維持するために住まいの周辺空間を誰がどのように管理するかが課題になる。こうした背景から、近年はコミュニティによる身近な空間の共同管理・活用に注目が集まりつつある。
かつての農山漁村のように、暮らしの場と生業の場が近接する地域においては、生活空間の管理がコミュニティによって行われてきた経緯がある。しかし、現在では高齢化の進行や担い手不足等により、その状況は大きく変化しつつある。一方で、人口が極端に減少しているような郊外の住宅地において、コミュニティによる空間管理の取り組みが活発化している状況も見られる。また、米国の衰退都市等ではコミュニティではなく政府が中心になって空き地の適切な管理・活用を積極的に推進している事例もある。
本特集は、このような人口減少・土地需要減少という状況下での生活空間の多様な主体による共同管理の取り組みを踏まえながら、今後の新たな空間管理の方向性について展望するものである。
企画編集:千葉大学大学院園芸学研究科 准教授 秋田 典子
人口減少時代における生活空間の共同管理 −多極的ガバナンスによる空間の管理−
千葉大学大学院園芸学研究科 准教授 秋田 典子
移住者の地域管理への参加:とある研究者の農山村への移住
徳島大学大学院産業理工学研究部社会総合科学地域計画学研究室 准教授 田口 太郎
漁師の暮らしと空間の広がり
岩手大学農学部都市・地域デザイン研究室 准教授 三宅 諭
空き地に囲まれ意外に元気な多孔団地の人々
東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 准教授 瀬田 史彦
東日本大震災の復興過程で大量に発生した空き地をまとめる土地区画整理事業
名取市副市長 石塚 昌志
米国フリント市における空洞化した宅地の利活用
東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻博士課程 矢吹 剣一
トピックス
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広場
法制局の審査机(住宅局関係法令の審査過程あれこれ)その3
元内閣法制局第2部参事官 山崎 篤男
書評
住まいとまちとコミュニティ
九州大学大学院人間環境学研究院都市・建築学部門助教 柴田 建